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さよひめ戦記535 011 [小説2]

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「耶麻人の軍はここに長くは止まらぬ。戦の占いさえ済めば、すぐにでも海を渡る」

狭手彦は様々な想いを押し殺して告げた。

「戦の占いは・・・妾がいたしましょう」

小夜姫は微笑んで答えた。

「姫が・・・」

「はい・・・明日、日の出とともに祭りの山に参ります」

「祭りの山・・・」

「昼前には占いは終わります」

「姫が一人でいくのか・・・」

「汝と・・・共に参りましょう」

儀式めいたことを好まぬ狭手彦だったが・・・小夜姫と行動を共にすることに喜びを感じる。

「姫は・・・神の末裔なのか・・・」

「そのように教えられ・・・育ちました」

「戦の占いで・・・吉凶を占うのか」

「お望みなら・・・ただ戦の占いが示すのは・・・日取りの善し悪しです」

「それは・・・」

「海を渡ることは・・・すでに危うきことですから」

「吾は戦の占いなど信じない。河内にも巫女はいたが、自分の身の行く末も知らぬような者ばかりだった」

「姫様の占いは決してはずれない」

声高く言ったのは蜻蛉(アキツ)だった。

自分と姫以外に石動の兄弟がいたことを失念していた狭手彦は驚いた。

「黙っていなさい」と小夜姫は少年を叱り、狭手彦に視線を戻す。「童のことです・・・気になさらぬように」

「いや・・・」と狭手彦は蜂(スガル)に顔を向けた。「この若者にも不思議な術を見せられた・・・姫もそのような術を持っているのか」

「妾はただ・・・影見の山で日神子様にお尋ねします」

「それは・・・末羅の神か・・・」

「日神子様は・・・昔からおられる神・・・昔は皆が日神子様の声を聞くことができたのです」

「吾は神の声を聞いたことはない」

「忘れているだけです」

「忘れた・・・」

「この世のすべてのものは声を発します。人はもちろん・・・鳥や獣だけでなく・・・草花も木々も・・・風の歌・・・海の歌・・・」

「我はそのような歌は聴かぬ」

「人がものに縛られし時・・・魂もまた戒められ・・・その目は閉じられ・・・その耳は塞がれたと教えられました」

「・・・我の耳が塞がれていると・・・」

狭手彦は神がかりをしたような小夜姫にいぶかしいものを感じる。

「将軍は・・・先程・・・部屋の中に敵がいることを殺気として察したのではありませんか」

「・・・」

「目に見えぬものはあるのです・・・壁の向こうに人の気配を感じることはその名残り」

「・・・姫は・・・それを誰に教えられたのか」

「日神子様がお話してくだされた・・・」

「ふむ・・・我もその日神子様と話してみたいものだ」

「明日・・・お話になられるでしょう」

「なんと」と狭手彦は驚きよりも恐怖を覚えた。「神が我と話すというか」

「妾がお伝えします」

「・・・そういうことか」

狭手彦は落胆しつつ肩の力を抜いた。

「・・・将軍の手はすでに血で汚れています」

「そのようなものとは神は話さぬか・・・」

「いえ、語りかけても聞こえぬのです。八百万の神々は耶麻人王にも倭王にも争いを止めるようにと言葉を投げたはず」

「・・・」

「殺し合うから届かない。一度殺せばそれはきりなく続くもの。それ故に耶麻人の宮は今も血生臭い。将軍は今日も人を殺め、明日も人を殺める」

「・・・耶麻人の宮が血生臭いとな」

「耶麻人の奴王は病の身、鷹王子と猫(まがり)王子、そして春木王子のいずれが王になるものか。大伴も物部もそして蘇我も殺戮の後見人となろうとしていること」

「姫よ」狭手彦は目をすわらせて自分を押さえながらで言った。「宮から遠く離れたこの地でそのような内輪のことを汝はなぜ?」 

「ここが・・・神の棲む末羅の地なるがゆえ」

「それならば」狭手彦は自分を押さえかね、触れずにいたことに触れた。「倭の兵の忍び込んだこと。なぜに許したか」

小夜姫は静かに答えた。

「無事と知っていたからです」

狭手彦は沈黙し、そして礼をしながら立ち上がった。そして部屋を去り際に「姫様、ご忠告ありがたく受ける。それでは明日」と言い残した。

狭手彦は顔を紅潮させ振り向かずに部屋を出たが、もし、振り返っていればそこに狭手彦が去ることを不満とする小夜姫の瞳の色を発見し、さらに戸惑ったであろう。(つづく)

さよひめ戦記535 010 [小説2]

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暗闇と静寂が人々の心を支配した。

スガルが走り出そうとして足を止めた。

小夜姫が一人で闇の中から歩み出たからだ。

「姫様」

スガルは一度止めた足を踏み出し、小夜姫に駆け寄った。

狭手彦は囁いた。

「角、稚室に知らせて警戒させろ」

「あのものたちに追っ手は・・・」と角が振り返って言う。

「この闇夜では危険だ。朝まで待つ」

そう言うと狭手彦は角が広場に走り去るのを見定めてから小夜姫を見た。

少女は今まで喉元に刃を突き付けられ、人質に取られていたことが・・・まるで嘘であったように落ち着き払っていた。

「スガル」と小夜姫は可憐なな声で言った。「このものを葬ってあげましょう」

それから狭手彦と目を合わせると静かに礼をした。

夜の闇の中で白い衣を着た小さな少女が狭手彦の瞳に・・・きらぎらしくクローズ・アップされた。

狭手彦は息を飲んだ。狭手彦とて童ではない。従兄弟の稚室ほどではなかったが、すでに女を知っている。しかし、突き上げる思いが高まる。その思いが恋情とは気付かぬほどに少女は狭手彦の心を捕らえていた。

「耶麻人の将軍よ。剣の血を清めたまえ」

少女は威厳を漂わせ、当然のように狭手彦に命じた。

狭手彦は狼狽して鮫の血のしたたる己の剣を見た。姫の命を救ったことよりも神聖なものの前で汚れた失態を演じたという思いに彼は襲われていた。

いつの間にか・・・狭手彦の前に婢が水を湛えた器を差し出していた。

狭手彦が剣を水につけると・・・婢は布で剣を洗う。

間もなく少女の指図でかりそめの弔いの儀式が行われ、その間に大伴の兵たちは警戒の配備についた。

月が高く上がったころ、狭手彦は小夜姫の小屋にただ一人招かれていた。 

少女の左右には石動の兄弟・・・スガルとアキツが座している。

小屋の四隅に明かりが灯され、その炎の揺らぎに浮かびあがる小夜姫の顔は・・・狭手彦にますます神秘的な印象を与えていた。少女が神々しいことが狭手彦をひどく悲しくさせた。

この姫と二人きりになりたいと狭手彦は強く願っていた。

しかし、そんな心と裏腹に耶麻人の将軍として、小国のものに対する態度を崩せない狭手彦の立場があった。

「姫の命に障りなく幸でした」

「危ういところをありがとうございました」

だが、小夜姫の表情には取り立てて感謝の色はなかった。

狭手彦はお互いの立場をはっきりとさせる必要に迫られた。

「末羅の国に姫のような方がいるとは知りませんでした」

「末羅は祭りの地。倭のような国とは国の在り方が違うのです」

「姫が末羅の王なのですね」

「この地に王はありません」

「ではこの地は誰が支配しているのですか」

狭手彦は小夜姫に率直に問いかけた。

「誰かが誰かのものになるというのは一つの考え方にすぎません。汝の国にそれがあり、末羅の国にそれがない‥‥‥」

「しかし外の国から攻められたらどうなるのです」

「倭王は末羅を攻めなかった。耶麻人は攻めますか?」
 
狭手彦は言葉につまった。

「それは」小夜姫が狭手彦の心を読んだように言う。「耶麻人王のお考えになることですね。汝は将軍・・・」

狭手彦は赤面しながらも肩の荷を降ろしたような気がする。海の外の倭軍を制圧した後で末羅の国の処遇も問題となるだろうがそれはまた先のことだ。

小夜姫は狭手彦の目を見据えながら言葉を続けた。

「将軍をお呼びしたのは忠告がしたかったからです」

「忠告?」

「将軍は命を狙われています」

「確かに倭の残党は・・・」

「いいえ、先ほどのものたちではありません」

「まだ他に・・・何者であろうか・・・」

「将軍のお味方です」

「何・・・味方とは・・・」

「その者は将軍を殺し、罪を篠原の村のものに被せようとしています」

「誰がそんなことを・・・」

「将軍が死ねば韓津に残る耶麻人の兵たちが黙っていないでしょう。そうなれば末羅と耶麻人の間に痼ができます。多くの無益な血が流される。それを喜ぶものがいます」

「なるほど」と狭手彦は物部荒梛の顔を思い浮かべた。

「だから」と小夜姫は諭すように言う。「将軍には注意していただきたいのです」

小夜姫が・・・耶麻人の内情に詳しいことに狭手彦は不審を感じなかった。

神の巫女が何を知っていても驚くことはできない。

狭手彦は目の前の少女に激しく欲情しながら・・・神への畏怖を同時に感じている。

つづく

乙女のための「あまちゃん」レビューの目次 [聖なる地獄]

すでに懐かしい2013年・・・しかし、レンタル物件などにより・・・これから「あまロス」になる人もいるだろう。
まさにワールドカップ日本戦を見ない人だって日本人の世界だよなあ。

しかし・・・レビュー目次としては・・・長めのリンク集になってしまうのだった。
週刊だからな。
書いたなあ・・・書いたねえ。

あまちゃんを待ちながら・・・さよなら!純と愛(キッド)


あまちゃん、もしも明日が・・・(‘ j ’)ノ ならば(能年玲奈)

あまちゃん、はじめての土曜日(有村架純)

あまちゃん、ハートの2の土曜日(小泉今日子)とリーガル・ハイ・スペシャルの美しすぎる裁判官様(広末涼子)


あまちゃん、第三の土曜日(宮本信子)


あまちゃん、四回目の土曜日(能年玲奈)

あまちゃん、五度目の土曜日(橋本愛)

あまちゃん、六番目の土曜日(小泉今日子)


あまちゃん、七巡目の土曜日(有村架純)


あまちゃん、八つ目の土曜日(能年玲奈)

あまちゃん、九段目の土曜日(橋本愛)


あまちゃん、十周目の土曜日(能年玲奈)

あまちゃん、十一列目の土曜日(小泉今日子)

あまちゃん、十二色目の土曜日(橋本愛)

あまちゃん、十三番線上の土曜日(薬師丸ひろ子)

あまちゃん、十四通り目の土曜日(能年玲奈)

あまちゃん、十五種類の土曜日(能年玲奈)

あまちゃん、十六曲目の土曜日(有村架純)


あまちゃん、十七ターン目の土曜日(小泉今日子)

あまちゃん、十八景目の土曜日(能年玲奈)


あまちゃん、十九発目の土曜日(能年玲奈)

あまちゃん、二十重ね目の土曜日(宮本信子)


あまちゃん、二十一巻き目の土曜日(能年玲奈)


あまちゃん、二十二波目の土曜日(橋本愛)

あまちゃん、二十三車両目の土曜日(能年玲奈)


あまちゃん、二十四号目の土曜日(能年玲奈)

あまちゃん、二十五組目の土曜日(能年玲奈)

あまちゃん、最後の月曜日、火曜日、そして水曜日(薬師丸ひろ子)

あまちゃん、最後の木曜日、金曜日、そして土曜日(能年玲奈)

あまちゃん、最後の最後の火曜日(能年玲奈)

あまちゃん・・・元気かなあ・・・。

そろそろ・・・会いたいなあ・・・。

毎度おなじみのココログのシステムトラブルです! [聖なる地獄]

・・・というわけで・・・本家に記事投稿なのである。

そろそろ・・・書かねばと思っていたのでちょうどいい・・・わけでもない。

まったく・・・何事もなく年の瀬を迎えることはできないのか・・・。

ココログでは・・・レイアウトが壊れて・・・記事は空白のように見え・・・

今年から加わった広告だけが表示されているという・・・

なんだか・・・すごくいやな感じのブログになっている。

ある意味・・・いやがらせな感じだ・・・。

しかも・・・今回は・・・トラブル発生から・・・全く改善の兆しがない・・・。

まさかと思うが・・・仕事おさめ体制なのかよっ。

のんびりと・・・「桐島、部活やめるってよ」を眺めながら・・・考え事をしている場合ではなかったのだっ。

映画見ながら・・・考え事するのをやめなさい。

いや・・・ただ・・・橋本愛を見たかっただけだから・・・。

Womamのレビューの目次 [聖なる地獄]

「さよひめ」を書こうと思ったのだが・・・ちょっと時間不足。

そこで前から考えていた企画で・・・。

メモとしての目次化を試しておく。

今回は「Woman」である。

第1回 駅のホームで梨を拾ってはいけないWoman(小栗旬)

第2回 525円の深紅のワインと夏の花火と2360円の血液検査とWoman(満島ひかり)

第3回 パトカーもしくは牛さんとピアノもしくは将棋と母親もしくは父親とWoman(二階堂ふみ)

第4回 西瓜の種と孤独な犬と震える手と案ずる瞳とWoman(田中裕子)

第5回 黄色いダリアと清潔なコップと薄切りバームクーヘンと捨てられた薬とWoman(谷村美月)

第6回 海の水と美しい空と山の水と夜の河の淵とWoman(臼田あさ美)

第7回 大菩薩峠と三色団子と豆ご飯と亡き夫からの手紙とBELIEVEとWoman(神野三鈴)

第8回 獣の母と置き手紙と浴衣と下駄とリンゴアメと水風船とベッドのスプリングと日傘と牛丼とコスモスとWoman(柊瑠美)

第9回 永久凍土のユカ(マンモス)とルシールの息子・ジミヘンのシャツとホットドッグのケチャップと香車と川と橋とダイヤモンドとWoman(鈴木梨央)

第10回 汚れた足と松葉杖と飲酒者と屋上の手摺と病院の廊下と死後の人生とWoman(小林薫)

最終回 乾いた博物館と匂う動物園と試供品のワインと台風9号と永遠の絵日記とWoman(高橋一生)

さよひめ戦記535 009  [小説2]

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二人が立ち去ったころにはスガルが狭手彦たちのもとへ呼び出されていた。

「イスルギのスガルと申します」と長が紹介する。

「この若者が器を走らせたか」

「それは」とスガルが答える。「おそらく弟の仕業でしょう。近頃、悪戯が過ぎるのです。後で叱っておきます」

「いや、どのようにして器を」

「石動(イスルギ)の兄弟は神に仕え、そのお守りをする一族です」

 長がスガルにかわって言う。

「その名の通り、石を動かします。しかもそれに触れずに」

「器もか」

 答えがないので狭手彦は焦れたように言う。 

「何かやってみせてくれ」

「おのぞみなら」

 スガルは広場の中央のたき火を指さした。

 たちまちその炎が輪を描き始める。次にその火の輪は広場に流れる音楽に合わせて左右に揺れ出した。

「火が踊っている」

 叫んだのは佐伯部角だ。その頃には人々の目は中央で踊る火の輪に注がれていた。しかし、驚いて目を丸くしているのは耶麻人の者たちだけで、村人たちは面白い余興が始まったという顔付きだった。

 やがて火の輪は一際高くジャンプすると八方に火の粉を散らして砕け散った。村人たちは歓声を上げる。

「一体どこで今のような技を」

 狭手彦の問いかけにスガルは困ったような顔で答えた。

「石動の一族のものは言葉を覚える前に物を動かすので」

「生まれつきというわけか」

 狭手彦は考えこんだ。

「このような技を皆が使えるのではこの国はうかつに攻められぬな」

「炎でせめられたらたたまらんわ」

 いつ来たのか稚室がつぶやいた。怪異な火の舞いに耶麻人軍の兵たちは狭手彦の元へと集い出している。

「これは遊びが過ぎましたな」

 長がわびるように言った。

「確かに」

 狭手彦は無理矢理笑顔を作り不安そうな兵たちに告げた。

「皆の者、うろたえるな。これは、その、末羅の国の神の技だそうだ。席に戻って酒を飲め」

 狭手彦に落ち着いた声で命じられ、兵たちは席へと戻り始める。

 兵たちが静まるのを見守ってから、狭手彦は長に向き直った。そして小声で言う。

「吾も恐ろしいわ」

「見事におさめられましたな」

 そう答えた村長の声に狭手彦はこれまで柔順と映っていた態度が実は余裕ある者のそれであったことを感じとった。

「なるほどこの国は侵せない」

「古い国なのです」と村長は念を押すように付け加えた。「争いは好みません」

「長様」と狭手彦は篠原の村長に恫喝されているような気分を味わいながら言った。「先程、姫様と会わせてくださるとか」

「はい」と村長は笑みを浮かべて頷く。

「早くお会いしたいのだが」

「それでは」と長は立ち上がった。「参りましょう」

「稚室」と狭手彦は立ち上がりかけた従兄弟を制して言った。「角と文人を連れていく。兵たちを見ていてくれ」 
 狭手彦たちは広場を後にして、小夜姫の小屋へと足を運んだ。

「どちらへ」と後を追いかけて来たのは荒梛である。

「末羅の姫様の宮へ」と答えたのは村長だった。

「それならば」と荒梛は狭手彦に同行を申し入れた。狭手彦が村長を見ると彼は承諾の意を示した。

 狭手彦は胸に緊張を感じていた。占領下の国の小さな村にやってきたつもりがそこは怪しい別世界だったのだ。炎のようにこの身を自在に操ることもできるのかとも考え、戦を生業としてきた狭手彦にはツガルの示した技の威力が重くのしかかる。狭手彦はたまりかねて村長に話しかけた。

「あのような力があれば倭の国を攻めることもできたのではないか」

「攻める?」と村長はゆっくりとした口調で問いかけた。「攻めてどうするのです?」

「どうすると言われても」

「この村は豊かで飢えの恐れもありません。他の国に攻められ、恨むこともありません。他の国に攻め入る必要がないのです」

 狭手彦はその言葉に納得はできなかったがそれ以上言うべき言葉もなかった。

「こちらに」

 狭手彦は村長に促されて小夜姫の小屋に到着したことに気付いた。小屋へ通じる階段に足をかけた瞬間、狭手彦は前方に立ち込める殺気を感じた。習慣的に剣に手をかけると階段を一気に駆け上がる。縁に止まり剣を抜いた途端、小屋の戸が開き、何者かの剣が突き出された。その剣を狭手彦が自分の剣で跳ね上げる。一撃をかわされた者は小屋の中に後ずさった。狭手彦は進むことが出来ずに立ち止まる。

 小屋の中には油火の明かりがあり、見える限り、二人の男と一人の少女がいた。少女は喉に剣の刃をつきつけられている。扉の影に三人目の敵が潜んでいる気配を感じ取り、狭手彦は部屋の中に踏み込むことができないのだった。先程剣を突き出した男が再び前に出てくる。仕方なく狭手彦は後退し、階段を降りる。今度は縁に男が飛び出した。

 続いて、やはり隠れていた男が現れた。大男だった。最後に女に剣を突き付けた痩せた男も小屋を出た。

「姫様」

 ツガルが叫んだ。

 三人の男は階段を降り、村の外へ向かう側へと移動し始める。

 先頭の顔に傷のある男が言った。

「そこにいるのは耶麻人の兵か」

「大伴狭手彦だ」

 男は闇の中でニヤリと笑った。

「それでは将軍か。何と運の良いことよ」

 男は狭手彦たちを値踏みするように見た。

 佐伯部角と吉士文人は長剣を抜き、スガルも短剣を構えている。

「村の様子を探ろうと忍び込んだと思えば、耶麻人の将軍がそちらからやって来ようとは思わなんだ。良いか。声をあげたらこの姫は殺す。吾は倭の大王に使えた祝鮫(イワイのミヅチ)。その首落として大王に捧げる」

「勝負しようというのか」

 祝鮫はその問いに答えず、剣を構えて進み出た。

 前へと佐伯部角が進み出るのを狭手彦は片手で制し、祝鮫に向かって静かに言った。

「待て。吾も兵だ。汝と剣を交えるのは厭わぬ。だが、その娘は末羅の国のもの。勝負の後には放つと約せ」

「なるほど。吾もこの姫には恨みもない。そうしよう」

「角、文人。手出しをするな」

 言われて二人は剣を引いた。

 狭手彦と鮫はお互いに前進し、距離を詰める。先に足をとめたのは鮫だった。ほんの一瞬遅れて狭手彦も足を止める。そこに隙が出来、鮫は機会を捕らえて剣を突き出した。狭手彦は危うく剣を受け流し、右に回った。鮫は第二撃を打ち込む。今度は狭手彦に余裕がありその剣をかわすと反撃に出た。鮫の剣と狭手彦の剣が打ち合わされ、火花が散った。 二人は同時に相手が好敵手としての力量を備えていることを悟った。その気持ちのままに狭手彦が退くと鮫もまた退く。二人はぎりぎりの間合いで見つめあった。

「さすがは大伴の兵(つわもの)だ」

「汝も鮫(ミヅチ)の名に恥じぬ」

 再び鮫が先制した、今度は一撃で狭手彦が反撃し、息もつけない乱打戦になった。お互いに連続で技を出し、お互いに凌ぐ。実力は伯仲し、気力も互角だった。しかし、体力においてはわずかに狭手彦が勝っていた。

 一瞬の静寂の後、狭手彦の繰り出した剣が鮫の胸を刺し貫いた。

 鮫は顔をしかめたが、狭手彦を睨みつけ、そして背後の仲間を振り返り「果たせ」と言うと地面に倒れ込んだ。

 狭手彦がかがみこんた時にはこときれていた。狭手彦は静かに自分の剣を相手から引き抜いた。

「耶麻人の将軍(イクサのキミ)よ」 声をかけたのは大男の海鯨(アのイサナ)だった。「見事な腕だ。すぐにも相手をしたいが、祝鮫の約定がある。そこで待て。村の出口で姫を放つ。しかし汝の命はいつかもらうぞ」


そう言うと海鯨は後退し、姫を人質とした二人の男は闇の中に飲まれて行った。

つづき→http://kid-blog.blog.so-net.ne.jp/2016-04-01

聖なる2013年のご挨拶 [聖なる地獄]

過去の年越しの中でも極めて平穏な2012年~2013年だった。

ただし・・・流行中のウイルスのために完全に寝正月である。

夢もほとんど見ないほど熟睡なのだ。

家族のために病院めぐりをしたのは久しぶりだ。

とある病気が持病だと・・・受け入れてくれる病院がほとんどない。

もちろん、軽傷が理由なのだが・・・。

近所の病院では専門の病院に行ってくれと言われ、専門の病院では最寄りの病院で対処してくれと言われる。

なんなのだ・・・。

結局・・・外国人が経営する病院が一番、親切なのである。

来るものは拒まずなのだな。

まあ・・・メディアに紹介される院内感染の死亡記事の実情がよくわかるのである。

結局、病院もある程度、健康な人のための施設ということなのだ。

テレビに出ている人たちは本当に元気だな。

もちろん、元気だからテレビに出ているのである。

でも・・・少しうらやましいぞ~。

秋のソネット [聖なる地獄]

不定期通信である。
愛機損傷、大震災、地デジ化・・・と不祥事があいついで
さよひめ伝もデータが未だ発見されていない。

プライベートもなにかと忙しく・・・社交性ゼロなので・・・不義理申し上げるの連続である。

しかし、まだ生存しています。

驚くべきことに・・・ここ一年くらいゲームをしていません。
どんだけ・・・多忙なんだ・・・。
ていうか・・・わざわざ報告することかっ。

それにしても中国の漁船団千艘はおそいな。
五月雨式かよっ・・・である。

不安定な沖縄・・・どうしたいのだ。

中国はもうどうしようもないな。
なにしろ・・・10億人いるからな・・・10万人騒いでも1000人に1人が騒いでいるだけなのである。
残りの999人はきっと別のことで忙しいのだ。

それでも・・・50%以上の中国人が「日中開戦」を確信している地域があったりするわけである。

まあ、去年は2万人が海にもっていかれている我が国としては
死者の発生はなるべくさけたいところだろう。

しかし、出たら出たでどうっていうことはないがな。

新たなる震災、放射能汚染、エネルギー計画、領土問題、高齢化、官の腐敗、指導者不足、いじめ・・・
問題山積であるが・・・まあ、なるようになりますな。

とにかく・・・お彼岸までには・・・涼しくなってもらいたい。
半袖でお墓掃除すると・・・蚊にさされまくられますからーーーっ。


キッドのブログinココログがようやく再開。 [聖なる地獄]

さて、別宅であるキッドのブログinココログが更新再開より一ヶ月越えである。
雑事が多く、かってのような更新は無理だが、そこそこ書いている。
プライベートではさらに別の用件があり、もう時間がいくらあっても足りない。
相変わらず、「さよひめ伝」の元記事も発掘できないし・・・。
直下型地震対策もままならない。
まあ、死なばもろともである。

そういうわけで勝手にCM消しの更新でございます。
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